| 寝たきりの原因になることもある「転倒」。一瞬の出来事が後の人生を大きく左右するだけに、注意したいものだ。今回の健康ページは、3月3日に所沢市社会福祉協議会および基幹型ところざわ在宅介護支援センターの主催で行われた「転倒予防教室」を元に、転ばないための体作り、習慣作りについて特集する。
「転倒予防のために」 〜転ばないための工夫〜
講師:所沢整形外科 医学博士 高濱晶彦氏
加齢による変化を認識する
年を取ると筋力が衰え、バランス感覚が低下する。このため、なんでもないようなわずかな段差で、躓いたり、すべったりしてしまう。過信せず、己を知ろう。
怪我をしない工夫を
転倒による骨折を防ぐ方法の一つは、転んだ時の衝撃から骨を守る装備を身につけておくこと。腰骨にはヒップ・プロテクターが、膝にはハンカチを折り込んだサポーターが有効だ。頭には帽子を。場合によっては、タオルで鉢巻した上から被るとよい。
転ばない体作りを
転ばない体作りの基本は、体を動かして筋肉のしなやかさを保ち、骨を丈夫にすることだ。
・‥運動しよう
人の筋肉の7割は下肢にある。たくさんの筋肉を動かせるので、歩くのは非常に優れた運動だ。また、親から授かった体を保つには、「痛いから動かさない」のではなく、無理のない範囲で負荷をかけることも必要だ。
ただし、運動の前には、貧血の有無などのメディカルチェックをすること。心電図や肺活量を調べて、適切な運動レベルを割り出すことも大切だ。
・‥骨を丈夫に
骨を丈夫にするポイントは、「動いて」「食べて」「日に当たる」こと。
・「動いて」…骨量を増やすには、骨に適度なストレスのかかる運動が必要。具体的には、重りを入れたリュックを背負って歩くのがよい。この時、重いものを上に入れ、荷物の重心が上の方に来るようにするとよい。一秒一mほどのゆっくりした歩行でも十分に効果が出る。辛ければ10分ずつに区切って、一日35分歩こう。速度に緩急をつけるのも効果的。慣れたら重りを増やすとよい。
運動について注意して欲しいのは、自分は水泳をしているから大丈夫だと思っている人。水泳は重力からくる負荷が少ないので、骨密度を増やすには役不足だ。
・「食べて」…丈夫な骨を作るには、カルシウムだけでなく、たんぱく質もきちんと摂ること。骨はコラーゲン(=たんぱく質)にカルシウムが付いたもの。たんぱく質が足りないと骨は育たない。また、カルシウムの吸収に必要なビタミンD、Kも忘れずに。
なお、仮に理想体重をオーバーしていても、食事制限によるダイエットは禁物だ。食事を減らすと筋肉から落ちてしまう。きちんと食べて運動して、脂肪を筋肉に置き換えていこう。脂肪太りはよくないが、筋肉太りなら全く問題はない。筋力で太っているのは活動力のある証拠なのだ。
転倒予防運動の実際
講師:所沢整形外科 健康運動指導士 生駒臣五氏
下半身の柔軟性や筋力が保たれていれば、転倒しそうになっても踏みとどまることができる。歩くことと並んで転倒予防に効果的なのは、ストレッチと筋力運動だ。
あなたの筋力は大丈夫?
椅子に浅く掛けて腕を組み、片足を上げた状態でゆっくり立ち上がってみよう。ふらつかずにできる人は当面の心配ない。
講演で紹介されたストレッチのうち、特に大事なものを2つ紹介するので、筋力に不安を感じた人は継続して取り組まれては。なお、ストレッチする時は、息を止めないこと。汗をかかず少し疲れる程度に体を動かすのがポイント。反動を付けた急な動きや無理は禁物。
ふくらはぎのストレッチ
両手を壁に付いて立ち、足を前後に開く。壁側の膝を曲げ、反対側の膝の裏を伸ばす。気持ちいい突っ張り感があって、後ろの踵が浮かない程度に。左右30秒ずつ、二セット行う。
太ももの前を延ばすストレッチ
横向きに寝て、上側の足の甲を持って踵を臀部へ引き寄せる。膝を真後ろへ引く感じですると、自然と膝頭が上がる。甲が掴めない人はタオルで引っ掛けて。回数は左右二回ずつ。 |