50代ともなると、退職後のイメージが徐々にはっきりしていく時期だ。そんな時期住み替えを考えている人も多いだろう。場所は市街地か郊外か、夫婦2人暮らしか子供と同居か、人それぞれ事情は異なるが、悩ましいのは今の住まいをどうするかだ。売るのかそれとも貸すのか。どちらが有利か見極めるために、それぞれのメリット、デメリットを考えてみよう。
売る場合(買替)
まず買い替える場合のメリットは、売却して得た資金を買替えの頭金に充当できるという点が挙げられる。
譲渡損失(売って損をした場合)税金の控除の対象となる。
逆に売却損が表面化してしまうという点は、売る場合のデメリットだ。売らずに人に貸している場合は「損をした」と実感せずにすむ。しかし仮に自宅が買った時より値下がりして売却損が出た場合、繰越し控除で所得税が減税される。あくまでも所得税を払っていることが前提なので収入のあるうちに売却しないとこのメリットを享受できない。仮に給与所得が600万円で、購入価格(その費用も含む)が4400万円、売却価格が2400万円(その費用も含む)の場合、譲渡損失が2000万円と言うことになり、その年の所得金額600万円が相殺されて所得税とその年の住民税(所得割)がゼロに。2・3年目も繰り越されてゼロになり、4年目は相殺後に残った400万円に対して課税される。ただしまだローンが残っていて、売却しても返しきれないケースはそもそも売却が難しい。売却資金で足りない分は、貯蓄などを取り崩す必要があるので、買替え先の資金繰りが苦しくなりかねないのだ。
貸す場合(買増し)
家賃収入が見込め、いずれ子供が使う予定がある場合などにメリットは大きい。ただし今の住まいを人に貸して買い増すには、なんといっても資金に余裕なければ難しいであろう。
また自宅を賃貸に出す場合は、事業としての出費やリスクを伴うことも覚悟は必要だ。固定資産税や修繕費の他に、管理を委託する場合はその委託料も発生する。
住まなくなって3年たつと居住用とみなされなくなる。
買増しで注意したいのは、自宅に住宅ローンが残っているケース。住宅ローンはあくまでも居住用が対象なので、人に貸すと事業用とみなされ、金融機関からの金利引き上げや一括返済を要求されることも有り得る。住宅ローンが残っている場合は、繰り上げ返済用の資金を買い増しの先のローンに上乗せして一本化するなどの対策が必要となってくる。
賃貸に出した住宅は税制上の扱いが事業用となる点にも注意が必要だ。もしいずれ売却しようと考える場合、住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに売らなければ居住用とみなされなくなるので3000万円控除など居住用財産の特例が使えなくなるので注意しよう。最終的な貸すか売るかの決断は3年以内が見極めとなる。
投資用物件に買い替える方法も
借り手がつきにくい郊外の一戸建やマンションなどは、売却して投資用物件を購入する方法もある。築浅物件なら、減価償却も適用される。資金繰りに余裕があり、自宅を売却しなくても住み替えが可能な場合では、検討してみる価値が大いにある。
今まで、税制面を中心に述べてきたが、どちらの場合も最も大きなポイントはやはりその人の人生設計だろう。生涯設計の中でベストなタイミングを計って、住み替えをしたいものだ。ファイナンシャル・プランナーに相談するのも一策だ。
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