リタイアで手に入る時間、どう生かす? ―――製造業の会社員だった安藤敏さん(写真左)が選んだのは、ボランティア。社会参加できるのが魅力だという。きっかけは所沢市のボランティア講座。受講後、講師の野田さん(写真中央)が代表を務めるボランティアグループ「ふくじゅそう」に入会。五年が経過した現在では、グループの副代表として一月の約三分の一を活動にあてる。
安藤さん(左)と代表の野田さん(中央)
右端はもう一人の副代表・鈴木さん

「ふくじゅそう」は主に地域の高齢者に向けた活動を行っているグループだ。活動内容は老人集会所の運営、会食会やお茶会、お弁当の配食、バザー、手芸作品作り、交流会などさまざま。食事サービスを受けている九十歳の方が「自分もできることを」と、バザーの商品を作るなど、ボランティアする側、される側の垣根がないのが特徴だ。
代表の野田さん曰く、安藤さんは「(ふくじゅそうの)宝物」。貴重な男手としてバザーの搬入やお弁当の配達で運転手を務めるほか、機関紙の編集や対外業務など幅広い仕事を受け持つ。穏やかなお人柄は高齢者にも人気があり、食事会などで姿が見えないと「今日安藤さんは?」という声も聞かれるそうだ。
実は安藤さん、退職するまでは「隣の人が誰かも知らない」会社人間だった。仕事とは180度異なるボランティア活動に、学ぶことも多いのだとか。例えば何か作業する時、会社なら能率一辺倒だが、「ふくじゅそう」では違う。高齢の方が参加していることもあり、「その人にできることをできる範囲で」が大原則。人が主体であることが大切なのだ。また、色々な人との出会いを通じて、相手の立場に立って行動できるようになったという。具合の悪そうな人を見て自然に気遣える、そんなふうに成長できたとご自身をふりかえる。元気な人生の先輩から、前向きな心や目標を与えられることも。九十歳近い方の「これからが私の青春」という言葉が印象に残っているそうだ。
もっとも、悩みもある。仕事なら賃金という形で自分がしたことへの評価が得られるが、ボランティアにはそれがない。自分が本当に相手の役に立っているか、ふと不安になる瞬間があるのだそうだ。これを聞いていた野田さんがさらりと一言。「『役に立つか立たないか』ではなくて、大切なのは、自分が相手の人と共に過ごす時間を楽しむことだと思う」。活動歴27年の大先輩はさすがに自然体だ。
「この年になると、大変な事があっても、一年後には楽しい思い出になってしまう。体が動く限り、活動を続けていきたい」。張りのある表情でそんな風に語ってくれた安藤さん。落ち着いた眼差しの奥に、自分を生かす場を知る人の魅力が光る。
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