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上昇に転じた都心8区
国土交通省が9月21日に発表した基準地価(都道府県地価)によると、東京都心の地価の下げ止まり感が一段と強まっているが、こうした傾向は周辺区や交通の便がよい近郊市街地にも波及し始めてきた。
半年前の公示地価では、東京都心の地価上昇地点は中央・港・千代田の3区に集中していたが、今回の調査では23区全域に広がってきているのだ。東京23区の住宅地は、上昇と横ばいに下落率1%未満のほぼ横ばいを加えた下げ止まり地点の割合が、前年比36ポイント増の62%に拡大した。
この傾向は、近郊住宅地まで広がっている。例えば、千葉県浦安市の新浦安駅周辺では3〜4%台の高い上昇地点がみられている。また、横浜市や千葉県市川・柏市、東京都武蔵野・立川市などでも上昇地点が現れている。東京圏の住宅地は、ようやく下げ止まりが本物になってきたようだ。
積極的な熟年世代
東京都心や利便性のよい近郊で住宅地価の下げ止まり感が強まったこともあって、新築マンションや建売住宅市場は好調だ。
今、マイホーム取得の主役は底値圏に入ったと思われる安定した価格、超低水準なローン金利、有利な住宅税制という追い風を上手に利用している団塊ジュニアなど若年層だが、パワーシルバーといわれる50歳以上の熟年世代も積極的に行動に移っている。
熟年層に共通しているのは、街選びや商品企画に徹底的にこだわっていることだ。一応満足できるマイホームを持っている人が多く、買い替えではなく買い増し希望だから、割安感だけでは絶対に手を出さない。多少時間がかかっても、希望や条件にあった物件に出合うまで待ちの姿勢を崩さない。ただ、そうした物件が売り出されると素早く行動に移る。
「ニコタマ」で異常人気発生

玉川高島屋 |
バブル期のフィーバー振りを思わせる好例がある。「ニコタマ」という通称で知られる東急田園都市線二子玉川駅周辺は、おしゃれな街として人気がある。いくら人気の街とといっても世田谷の一番端だ。その駅前で27階建ての高層マンションが分譲されたが、なんと広告する前から問い合わせが殺到中だという。販売価格は都心のマンションに比べてかえって高価格にもかかわらず、人気が沸騰しているのだ。
その理由は何か?ひとつは、駅周辺の地価が4年間で約15%も上昇していることだ。バブル崩壊以来、住宅地でこれほど地価が上昇した街はなく、今後の値上がりも期待できる。また、商品企画の見事さも理由だ。この街のシンボルともいえる玉川高島屋S・Cを設計した建築家を起用し、白を基調にしたオシャレな外観デザイン、しかもニーズを先取りした多彩な間取りプランやインテリア等、住む人のステイタスを満足させてくれるマンションである。しかも、将来の資産価値に心配がないのだから、購入希望者が殺到するのもうなずける。
決め手は、将来の資産価値
こ
うした人気事例は、二子玉川に限らない。手ごろな価格で実現する庭付きの戸建て住宅というと、数年前までは30km圏以遠が多かった。ところが、最近は20〜30km圏で、しかも最寄りの駅までそう遠くない閑静な住宅地でも分譲されており、即日完売も珍しくない。
ただ注意したいのは、玉石混交の市場から将来の資産価値が下がらない優良物件を選ぶということ。基本は、誰もが住みたいと思えるもの、言葉を変えると中古になっても自らが購入したい物件である。賃貸に回したとき、高い家賃が期待できるというのも目安になる。
「熟年に、失敗は許されない」ということを肝に命じておこう。
ジャーナリスト 斉藤良介 |