|
酒は日本酒に限る。
それが自分の手を通して生まれたものなら、最高だ。
エピソード4
所沢の酒「ゆめところ」に夢をかける
ゆめところは2000本の出荷しかない |
所沢の地酒「ゆめところ」。フルーティーな香りのキレの良い酒だ。その誕生には菊池さんの夢なくしては語れない・・。
所沢には田んぼがない
所沢の米で日本酒を作る会会長菊池一雄さんは元来の酒好き。ある時「銘酒を楽しむ会」に参加した。その席で地元の酒が欲しいね、との話題に。天覧山の蔵元である五十嵐酒造が「所沢の米50俵集めれば作りましょう」との言葉に一同「それでは早速」と盛り上がった。しかし、「所沢には田んぼがないよ。」の一言で話は簡単に終わってしまった。しかし、これが菊池さんの夢の始まりになったのだ。
酒は楽しい飲み物・・
出身の岩手の集落では盆や正月、大人たちは酒を酌み交わす。普段厳格な父が上機嫌になって笑う。「酒とは一体楽しい飲み物だな。」と少年時代は思っていたそうだ。ある時そっと隠れて飲んでみた。「なるほどこれは美味しい。」そんな思い出のある酒を自分の手で作れたら・・菊池さんは動き出した。
田んぼ探しに明け暮れる
その昔所沢にも蔵元があったのを知っていた菊池さんは仕事の側ら(仕事を投げ出し?)田んぼ探しに明け暮れた。あちこちの農協へも出向いた。ある時農協の倉庫で藁を見つけた。ということは田んぼもあるはず。そして見つけたのが市内山口の農家だった。「これで酒ができる。」夢に大きく近づいた。
「ゆめところ」の誕生
2月に田んぼを発見したが、さらに農家との交渉や会の発足などに奔走し、翌年から五十嵐酒造での酒造りが始まった。名前も募集して「ゆめところ」に決定。約一年半の準備期間を経て酒の仕込みが始まった。ゆめところの誕生である。
夢と手と汗で生まれたわが酒
菊池さんの夢は叶った。10年前7、8人のメンバーで出発した会だが現在会員は100人を超え、田植えや稲刈りなどの活動も行っている。菊池さんにとって「ゆめところ」とはなんですか?「夢と手と汗の結晶です。人と人とがふれあって作り上げた喜びがつまっています。」
飲むのは日本酒だけだという。酒好きだが大酒飲みではない。「酒はいつも隣にいる。『そうだ、そうだ』と肩をたたきながら語ることのできる親友です」と語る菊池さん。今夜も「ゆめところ」で晩酌ですか。
(取材 小泉裕子) |