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 『ダイング・アニマル』 〜男であり続ける事
●【生きる指針のコーナー】第18号(2006年11月号)目次

1-特集 学ぶ・習う 今が学習適齢期!知的好奇心、健在なり!
2-お手軽大学体験 公開講座を狙え!
3-趣味が高じて大学へ! こんな本格的な「学び」も…。
4-オトコの日常を充実させる、極上の「学び」
5-今回は本の紹介です 『ダイング・アニマル』 〜男であり続ける事

いつまでも
男と女をテーマにリレー連載をおとどけします  Vol.2

今回は本の紹介です

『ダイング・アニマル』   〜男であり続ける事

[文=谷口 勝]


フィリップ・ロス著
上岡 伸雄訳
価格 : \1,575
出版 : 集英社

 「男として生まれたからには、死ぬまで男であり続けたい」。男性が肉体的な衰えを、特に性的な部分で自覚するとき誰もが思う事ではないだろうか。老いを意識し始めた男性の焦燥を代弁し、「性とは生きる力そのものなのだ」という思いを改めて感じさせてくれた一冊がある。アメリカの小説家、フィリップ・ロスの『ダイング・アニマル』という作品だ。
  主人公のデイヴィッド・ケペシュはニューヨーク在住、60歳の大学教授。彼は豊富な女性遍歴を経験しているにもかかわらず、一人の胸の美しいグラマラスなキューバ出身の教え子に夢中になってしまう。冒頭から、ケペシュとキューバ女性との性的な交渉と、やがては若い男に女性を奪われるのではないかという激しい妄執が描かれている。その嫉妬がまた生への執着を生み、主人公をギラギラと生かし続ける。そして最終的に、性は死を強烈に意識させてしまう営みとなる。性と生への執着が人間を生かし続けながらも、一方で束縛してしまう皮肉……。
  若く力に満ちているときは、嫉妬が生まれなくとも、老いて生の限界を感じ、迫り来る死の影を密かに感じ始める頃には、かくも嫉妬にかられるものなのか。描かれているのは、仏教的煩悩の世界そのものである。しかし、この煩悩の世界は苦の源泉であると同時に、何と人を生き生きとさせ魅惑的であることか。年齢と向き合う男性諸兄に是非読んで欲しい一冊だ。

 
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