ちょっと気になるボランティア、治験。2万5千人が登録する信濃会附属治験ボランティア会で、その実態を取材して来た。
そもそも、治験ボランティアって何?
私たちがお世話になる薬は、塗り薬から飲み薬まで、すべてが手順を踏んだ試験を重ねて世に出てきたもの。この試験に協力するのが、治験ボランティアだ。どんなに効果が期待できる物質も、治験ボランティアがいなければ、「薬」として世に出ることは出来ない。命を守る新薬の登場に欠かせない、意義あるボランティアなのである。
どうやって新薬開発にかかわるの?
新薬誕生までにはいくつかの段階がある。まず薬の候補になる物質を見つけ、基礎研究する。これが第一段階。続いて動物や培養細胞を使い、安全性や有効性をしっかりと確かめる。これが第二段階。第三段階で行うのが「治験」で、ヒトが使用した場合の安全性や効果のほどを確認する。この時、実際に薬候補を服用し、検査を受けてデータを提供するのが治験ボランティアだ。
治験には3つのステップがあり、少数の健康な人への試験(第一相)↓少数の患者への試験(第二相)↓多数の患者への試験(第三相)と順を追って行う。参加者は健康なら第一相に、治療対象の病気を患っている場合は二相以降の試験に協力する。ちなみに新薬はこの後、承認審査、販売後の再審査とチェックを受け、ようやく世に出る。長いものでここまで来るのに15年もかかるそうだ。
新薬が誕生するまで
薬の候補の発見
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動物実験等
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少数の健康な人への試験(第一相臨床試験)
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少数の患者への試験(第二相臨床試験)
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多数の患者への試験(第三相臨床試験)
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申請・審査
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新薬誕生 |
社会貢献だけじゃない!自分にもメリット
治験ボランティアのいいところは、参加者自身にも直接的なメリットがあること。以下に紹介する。
メリットその1
登録すると無料で健康診断
ボランティア登録するだけで、無料で健康診断が受けられる。身長・体重などの基本事項はもちろんのこと、心電図や尿検査、血液検査など、検査項目は本格的。希望すれば、心筋梗塞や動脈硬化のリスクがわかる「血管年齢」の測定もしてくれる。また、診断時に疾患が見つかったら、専門の医療機関への無料紹介も。なお、ボランティアに登録しても治験への参加は強制ではない。とりあえず健康状態を知りたい、という目的で登録するのもOKだ。
メリットその2
金銭面で旨みあり
治験に協力すると投薬を受けることになり、通院か入院、どちらかの形で自分の時間を割くことになる。また、採血検査や尿検査といった負担もある。それらへのねぎらいの意味で「治験協力費」が支払われる。参加者の中には「もらったお金で旅行に」なんて方もいるそう。通院の場合、1回当り約15,000円、2週間入院タイプへの参加で、30万円以上の協力費がもらえることもある。
メリットその3
新薬をいち早く試せる
海外で既に販売されている薬でも、国内での販売が許されるには長い時間がかかる。進行する病気を抱えている場合、効果のある薬の販売開始を待つ間に、深刻な病状になってしまうかもしれない。そんな時、治験ボランティアとして薬効を確かめる試験に参加すれば、販売前の時期に救われることも。実際、治験に協力したガン患者が、国内販売開始前の新薬で持ち直したケースもあるという。
Topic
治験にまた参加したいと思いますか?
意外に好評、治験参加者のホンネ
入院型の治験に参加すると、医療機関の中で検査を受けながら日々を過ごすことになる。体験者のホンネはどうなのだろうか?
左図は65歳以上女性を対象にした3泊4日の治験へのアンケート結果だ。8割の人が治験に好感触を持ったのがわかる。 |
安全面にも充分な配慮
「承認前の薬を服用するなんて、ちょっと恐いな」と思われる方、ご安心を。製薬会社と治験ボランティア会の間を取り持つ東京臨床薬理研究所によると、「参加してくださる方への負担が大きい場合や、倫理的に問題がある治験は、製薬会社に断りを入れています」とのこと。治験に協力する人の倫理的安全性が大切にされているのだ。また万一副作用が出てしまったときにも、フォロー体制は万全。治験ボランティア会の場合、治験の実施機関は同系列の信濃坂クリニックだが、このクリニックでは緊急時の外部医療機関への搬送体制が確立されている。加えて、皮膚科や内科などの専門医療機関の集った「四谷メディカルモール」との連携もある。薬疹などが出た場合はここで見てもらえるそうだ。
どうやって参加するの? まずは信濃会附属治験ボランティア会まで電話を(TEL.0120−093−656)。そして登録説明会と健康診断を予約する。説明会参加後、納得したなら会員登録をしよう。もちろん、登録は無料だ。それから健康診断を受け、検査結果を待つ。その後、参加可能な治験の案内が届くので、協力してもいいと思えるものがあれば参加を。参加後に嫌になった時には、いつでも辞退できる。
治験参加までの流れ
登録説明会、健康診断を予約
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登録説明会に参加
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納得したら登録
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健康診断受診(無料)
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検査結果受け取り
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参加可能な治験の案内
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自由意思で参加 |
求む! 65歳以上 実は現在、特に必要なのが65歳〜79歳のボランティア登録者だ。高脂血症や、高血圧、膝の痛み、糖尿病など、この世代に向けた新薬の開発が盛んになる中、協力者が不足しているそうだ。情けは人のためならず、時間と気持ちのある方は是非ご協力を! ひょっとすると将来自分がその新薬のお世話になるかもしれないし、あなたの大切な人が救われるかもしれない。
(取材・構成/西村信子) ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
信濃会附属治験ボランティア会
 新薬開発に協力する治験ボランティアの登録機関。登録者数二万五千、信濃町の四谷メディカルビル内にある。治験ボランティア会所属者の治験は、同じビルの中にある治験専門医療機関、信濃坂クリニックで行われる。
最新の設備を誇る治験専門医療
機関「信濃坂クリニック」 |
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