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リタイアを機に住む場所や住まい方を変え、新生活を楽しむ人が増えている。
本格的な移住から自宅のリフォームまで、そのパターンはさまざま。海外や田舎で仕事や暮らしの夢を叶えるもよし、これまでの場所でより自分らしい暮らしをするもよし。自立するために施設に入る手もある。
目新しいところでは、これまでの家とセカンドハウスを行き来する「二地域居住」というスタイルも登場。第二の人生を楽しむための選択肢はますます広がりをみせている。
今回の特集では「別荘地への移住」「田舎で帰農」「自宅開業」「リフォーム」「高齢者住宅入居」「海外移住」の六つの実例を取材。皆さんの生の声を拾ってきた。
生き方や暮らし方を自由に選べる特権はリタイア世代
ならでは。よりよいセカンドライフの参考にしていただければ幸いだ。
ケース1・別荘地への移住 -------------------------------
●お気に入りは浅間山
定年後に軽井沢へ移住した工藤斉さん(63)
「引退後はどこかに移住したいと夫婦で決めていた」という工藤さん。観光で訪れた「コスモ ス街道」に魅了され、退職の四年前に軽井沢を移住先に決めた。「孫が遊びに来やすい」「年を取っても散歩できる」「不便すぎない」などの希望を満たしていたことも決め手となった。その後、土地を取得して退職を待ち、所沢から移住して家を建てた。62歳の時だ。
移住のタイミングを「62歳」にしたのにはわけがある。一つには年金受給開始の年であること。そして会社で働ける上限の65歳まで待ってしまうと、「新しいことを始める体力や決断力がなくなってしまうかもしれない」と思ったからだ。
軽井沢での工藤さんの日課は散歩。天気の良い日は自然や景色を満喫しつつ、一時間半程度歩く。お気に入りは浅間山の眺めだ。特に山頂に初めての雪が積もる「初冠(はつかんむり)」を見たときのことは忘れられない。「澄み切った青空をバックに、朝降った雪の白と岩肌の色が交じり合う。貴重な体験でした」と振り返る。
散歩以外の楽しみもたくさん見つけた。庭で燻製を作ったり、道具をそろえて蕎麦打 ちしたり。長年中断していた油絵も再開した。月に二度、地元の絵画クラブで絵筆を握る。また、移住して得た新しい友人との交流や、古い友達の来訪など、人付き合いの輪も広がっているのだとか。
移住を成功させる秘訣を伺ったところ、間髪入れずにこんな答えが返ってきた。「『夫婦で生きる』こと」。コミュニケーションをしっかりとり、一緒に過ごす時間を大切にすることがポイントなのだそう。
「ここへ来て本当に良かった」。始終朗らかに語ってくれた工藤さん。大切な人とお気に入りの場所で暮す充足感が伝わってきた。
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